メールマガジン バックナンバー No.060
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環境・持続可能な社会へのみんなの一歩
グリーン・フォワード
http://www.greenforward.org
No.060 2006/12/8
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《目次》
●01:グリーン・フォワードからのお知らせ
●02:科学技術リテラシー(質問編)
●03:LED照明の効率
●04:日本の科学技術リテラシー
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●01:グリーン・フォワードからのお知らせ
特にありません。
メルマガの発行が遅くなり、申し訳ありません。
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●02:科学技術リテラシー(質問編)
環境問題は、社会制度の問題だけでなく、科学技術の問題でもあります。
これらの諸問題に対して、主に「教育」の視点で取り組むグリーン・フォワード
から、幾つかの質問を投げかけてみましょう。
正誤2択です。
以下の質問は「正しい」か、「誤り」か、お答え下さい。(^o^)/
この答えと解説は、このメルマガの後半にて。
1.光は音よりも早い
2.大陸は何万年もかけて移動し続けている
3.現在の人類は原始的動物種から進化したものだ
4.地球の中心部は非常に高温である
5.我々が呼吸に使う酸素は植物が作ったものである
6.すべての放射能は人工的に作られたものである
7.ごく初期の人類は恐竜と同時代に生きていた
8.赤ちゃんが男か女になるかを決めるのは父親の遺伝子である
9.抗生物質はバクテリア同様、ウイルスも殺す
10.電子の大きさは原子の大きさよりも小さい
11.レーザーは音波を集中することで得られる
12.放射能に汚染された牛乳は沸騰させれば安全だ
簡単でしたか?(^^)
解説は、このメルマガの後半で。
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●03:LED照明の効率
上記コーナーで、科学技術リテラシーなんてことを言いながら、筆者も
分からないことだらけ、誤解だらけです(+_+)
最近、気がついた誤解の告白です。
LED(発光ダイオード)の照明って効率的だよね、エコのためには白熱灯や
蛍光灯よりも、LEDを使ったほうが省エネでいいよね、と思ってました…
一般的には広くそのように言われています。
新聞にもそのように書かれています。
http://www.asahi.com/life/update/1205/012.html
が、これは必ずしも事実ではないことが分かりました。(お恥ずかしながら)
(表現が難しく、慎重に書きたいのですが、それでも間違っているかも)
確かに、LEDは省電力なのですが、得られる明るさが小さいために、
同じ明るさで比較すると、少なくとも現時点においては、蛍光灯のほうが
省エネだそうです。
http://www.nanoelectronics.jp/kaitai/led/5.htm
照明器具としてのレベルで比較するならば、白色LED照明は、定電流駆動回路
でのロスが大きいらしく(30%程度)、器具としての
lm/Wは、白熱ハロゲン器具
と大差は無く15〜25 lm/W 程度であり、一方、蛍光灯器具では、50〜80
lm/W
程度とのことです。
なお以前、当メルマガで、LED式の信号機のことをちらっと書いたことが
ありましたが、この場合はLEDのほうが高効率だそうです。
白色電球から赤や青のフィルターを透過する際に、かなりのロスがあるのに
対し、LEDは最初から赤色を発光できるため、です。
まぁ、信号機の場合は、LEDの長寿命性(=交換頻度が少ない)ことの
メリットも大きいのですが。
また以前、当メルマガのNo.014でご紹介したように、
http://www.greenforward.org/bac014.html
LEDは、蛍光灯のような水銀(有害物質)を使っていません。
LEDメーカー各社では、積極的な技術開発をおこなっており、
蛍光灯並みの白色LEDも開発され、まもなく量産開始、とのことです。
http://unit.aist.go.jp/shikoku/kaiyou/kaiyou-kaiin110.html
省電力で安全な、本当にエコなLED照明が早く、広く入手できるようになると
よいですね。(^^)
さて、間もなく「エコプロダクツ2006」です。
http://www.eco-pro.com/
LED照明器具も、エコグッズとして沢山、展示されていることでしょう。
でも、このメルマガの読者の皆様は、それが本当にエコな商品かどうか、
目を「光らせる」ことができますね(^^ゞ
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●04:日本の科学技術リテラシー
さて、上記●02:質問の解答はこちらです。
これは、2001年の「科学技術に関する意識調査」の結果の一部です。
http://www.nistep.go.jp/achiev/abs/jpn/rep072j/rep072aj.html
出来れば、リンク先を開いて見比べながら、この先を読み進めて下さい。
ハイテク国家日本と呼ばれるからには、教育レベルも高く、科学技術リテラシー
も高いはず、なのですが、その中身をもう少し見てみましょう。
先進国15カ国の比較では、日本はどのような位置にあるのでしょうか?
図2.「科学的発見」関心度指数では、最下位。(2001年)
図3.「技術発明利用」関心度指数では、ワースト2位。(2001年)
意外な結果です。しかもこれらは1991年に比べ悪化しています。
上記●02の質問に基づく、図8.「科学技術の基礎的な概念理解度」では、
どうでしょうか?
ワースト3位(正答率51%)です。
このページの図8.ではトップはデンマークとなっていますが、
別調査によると、1位 スウェーデン 正答率73%、2位 オランダ 68%、
同率3位 フィンランド・デンマーク 67% となっています。
皆様の正答率は何%だったでしょうか?
さて続いて、こちらは科学技術白書からです。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa200601/001/002/0401.htm
出来れば、リンク先を開いて見比べながら、この先を読み進めて下さい。
第1-2-52図「科学技術についてのニュースや話題への関心」の著しい低下
(特に若年層)が気になります。
第1-2-55図も同様ですが、学生の場合、学齢が上がるほど、関心が無くなる
結果となっています。
さらに、第1-2-54図「大人の科学技術に関する理解度と子どもの学力」の
25カ国比較はどうでしょうか?
通常、子どもの学力の高い国は、大人の科学技術に関する理解度も高い
結果となっています。
常識的にも、そうなることは想像できるでしょう。
しかしながら、このグラフ上、日本は特異な点にあることが示されています。
子どもの学力が2位であるのに対し、大人は22位という結果です。
右下にポツンと離れた点、これが日本の位置です。
最近、子どもの学力低下が騒がれていますが、少なくとも現時点では
子どもの学力は(方法はさておき)高く保たれているのに対し、
大人になるにつれて抜け落ちていく、このような現象が発生している、と
見ることができます。
これは、日本の(広義の)教育システムに深刻な問題あり、と言えるのでは
ないでしょうか?
環境問題が、日本では情緒的なもの(これ自体は大事なのですが、これだけに
とどまりがち)なのは、ここにも理由があるのではないでしょうか。
また、科学技術は環境だけでなく、経済や生活の豊かさへの影響はもちろん
のこと、生命倫理や軍事的脅威など、広く社会のサステナビリティに関係する
ものです。
今の日本人が、これへの関心と能力を失いつつあるとすれば、
それは本当に深刻な問題といえるのではないでしょうか。
温暖化・気候変動をはじめとする多くの環境問題の予防・解決のためには、
私たちは、もっと多くのことを学ぶ必要があるかも知れません。
いえ、それは「量」ではなく、より良い学び方を学ぶ、ということかも知れません。
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No.060 2006/12/8
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